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2020/10/27 【オンライン講演会】Q&Aを公開します お知らせ

 9月に開催した【オンライン講演会】『超高齢化社会を豊かにするモビリティ』での皆様のご質問に対し、
講師の名古屋大学 青木先生より、ご回答をいただきましたので公開します。

NO講演内容への質問回答
1 高齢者も経済的に豊かな方ばかりではないと思います。行政支援が大きいほど、理想に近づけると思いますが、
活動の中に加わっていますか。
はい,実証実験を豊田市・足助地区や,春日井市・高蔵寺ニュータウンを中心に行い,様々な高齢者に関わっていただいております.地域によって,モビリティ支援の形態が異なり,都市部では民間の収益を考えた運営の可能性がありますが,過疎地では現状のバスを中心とした公共交通機関の代替(サービスを充実させても税金投入額を増やさない)の可能性を考えております.
2 「ゆっくり自動運転」等を組込んだ高齢者向け交通システムはいつ頃運用できるのでしょうか。愛知県で具体的な目標(都市部、中山間地域)はありますか。 最初はオンデマンドタクシーやライドシェア,オペレータが操作・もしくは自動運転でもオペレータ同乗によるサービスになるかと存じます.具体的な目標については,関係各所との調整がありますので,下記オフィシャルの情報を随時ご覧ください.
<愛知県>
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/sangyoshinko/
<春日井市>
https://www.city.kasugai.lg.jp/shisei/machi/new_town/1022354/index.html
3 ①モビリティのシェアリング、自動運転化に伴い、パーソナルデータの取り込み、またそのセキュリティのあり方についてご教示いただければありがたいです。
②高齢ドライバーの容態変化(急病など)やモビリティのアクシデント(事故、故障)が起きた場合の対処のしかたについて対策など講じられておりましたらご教示ください。 以上よろしくお願い致します。
①MaaSにおけるデータの取り扱いやセキュリティに関しては,産官学連携で技術開発や制度設計を行なっています.例えば国土交通省ではR2年3月に「MaaS 関連データの連携に関する. ガイドライン. Ver.1.0」を発効しておりますので,ご参考になれば幸いです.
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001334057.pdf
②名大COIでは第1期(2015年)に,世界初の体調急変(心不全)を検出して,ドライバからの反応がない場合に自動運転に切り替え,路肩に停車するシステムを構築し,デモンストレーションを行いました.現在は,自動運転技術および体調検出技術の深化を行なっております.また,内閣府SIPのプログラムでは,加齢に伴い増える緑内障などの視野欠損を自動ブレーキなどの技術でどこまで安全・安心を提供できるかの検討を名古屋大学と理化学研究所を中心に医工連携で行なっております.
4 メタ認知活用で、セルフモニタリングが重要だと思うが、講演ではタクシーのドライブ評価を例示していた。他に簡便にできる方法があれば紹介してほしい。 一例として,交通環境の複雑さに応じて自車の速度を調整できるかどうかもメタ認知の測定方法の一つだと考え,研究中です.
5 ・一時停止交差点での急ブレーキ頻度と左右確認時間のテストについて実験数を増やす予定はありますか。
・身体機能の低下を意識付けのカバー度を定量的に調べることは可能でしょうか。
一時停止交差点や,その他の運転状況と,運転行動や認知・視覚機能との関係は,引き続きデータを収集・解析しております.2020年の自技会秋季大会でもその一端を発表しております(10/21(水)AMのセッション117).
これまでの一連の研究により,運転行動と心身機能の関係が明らかになってきております.単一の指標による説明力は高くないですが,複数の事象を見ることで,より正確にわかるようになってきております.
6 操作ミスによる事故は10%もないと言っていましたが、資料中の別ページのテレビのニュースのグラフだと34%が操作ミスとなっていたのはなぜですか? 私のスライドでは,人身(死傷)事故件数に対する割合を示し,テレビではそのうちの死亡事故件数に対する割合を示しているため,割合が異なります.年間の交通事故件数は,年間約40−50万件,そのうち死亡事故は年間4000件程度ですが,75歳以上については交通事故件数は3万件,そのうち死亡事故件数は400件程度です.操作不適に関する死亡事故が年間100件程度あるため,死亡事故に対する割合が約3割になります.

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