2010年度 第10回講演会
『本田宗一郎氏のものづくり・人づくりと60年代のホンダF1』

テーマ
『本田宗一郎氏のものづくり・人づくりと60年代のホンダF1』
日時
2011年2月4日(金)13:30〜16:30
場所
本田技研工業(株)青山本社ホンダホール
全体概要
 本田技研工業(株)の青山本社にあるホンダホールにおいて、2011年2月4日(金)13:30〜16:30のスケジュールで標記講演会が開催されました。当日は39年間ホンダで働かれ、その間実際に本田宗一郎氏の下でF1を開発した経験のある東京電機大学理工学部教授の佐野彰一氏を講師にお迎えし、第一部は「本田宗一郎氏のものづくり・人づくり」を、また休憩を挟んで第二部は「60年代のホンダF1」について、講師の体験に基づき本田氏がどんな考えで仕事に取り組み、どんなやり方で人を育てて行ったかを熱く語っていただきました。

 小さな町工場を世界企業にまで育て上げ、戦後を代表する技術者型経営者の本田宗一郎氏とは、常に新しいものづくりに情熱を傾け、夢に向かって突き進んで行くタイプの人であり、氏の姿勢はこれからの「ものづくり」に大いに参考になるものでした。

 F1挑戦の経営判断、生産性に優れ作業者の健康を考慮した乗用車車体構造、当時未熟だった車載電子回路の故障を前提としたABS、凶器になる恐れのある火薬を使わないエアバッグ、小型車の衝突安全対策から生まれた4WS、触媒に頼らない排出ガス対策、先陣を切った歩行者安全対策など、ものづくりの哲学、安全に対する思想、新技術へのアプローチから本田宗一郎氏の人材育成と企業文化創造の足跡を辿ることが出来ました。

 また、第二部では1960年代のF1の実車を前に、ホンダのF1グランプリ挑戦の中で講師の貴重な体験をお話しいただくとともに、当時の貴重な映像を交えながら数々の逸話なども紹介いただきました。

 講師の佐野氏は、1960年代のホンダでF1グランプリ挑戦とレーサー開発がどのような創意と努力で行われたのかを、車体設計担当として関わった経験に基づいて講演されました。当時のレーサー開発は、エンジンと車体に分かれ、5年以上の期間にわたるその内容は膨大なものであったということですが、講演会ではどのような環境で開発が行われたか、どのような課題にどのように取り組んだか、その状況と技術を、経験の範囲で、成功ばかりでなく失敗についてもお話ししていただきました。

以下は、当日の講演会及び1960年代に実際に開発されたF1の実車の前で行われた技術懇談会の様子です。

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