2010年度 第6回講演会
『グリーンイノベーションを支える産総研の設計・製造技術研究開発の最前線』

テーマ
『グリーンイノベーションを支える産総研の設計・製造技術研究開発の最前線』
日時
2010年10月6日(水)
場所
独立行政法人産業技術総合研究所つくば東事業所 第二会議室
全体概要
 産総研では、グリーン・イノベーションの実現に資する製造プロセス技術の研究開発を推進に向けて、最小の資源と最小のエネルギー投入で最大限の機能を発揮させる革新的製造技術(ミニマルマニュファクチャリング)のコンセプトを提案して研究開発を実施しています。具体的には、製造産業を通してグリーン・イノベーションを実現するため、部材等の製造から製品の機能や寿命に至るシステム全体の設計、個々の部材・プロセス開発、環境負荷性の評価のサイクルを回しながら、材料技術と加工などの製造プロセス技術とが融合化した研究開発です。本講演会では、特に環境負荷性の評価や革新的な製造プロセス技術を取り上げ研究開発の内容を紹介いただくくとともに、実験室現場において研究者との意見交換も図ることができました。

 1番目の講演では、先進製造プロセス研究部門の市川副研究部門長より、産総研の先進製造プロセス研究部門の概要とこれまでの主な成果について紹介していただきました。
2番目の講演では、同部門システム機能設計研究グループの三島グループ長より、製造技術の低コスト化、高効率化、低環境負荷化の実現を目指した、製品のライフサイクル全体を俯瞰したユーザ価値と環境負荷、コストのバランスを評価・分析するトータルパフォーマンス分析(TPA)に付いて、この方法の概説、製品への適用例、製品付帯サービスに適用する試みなどについてご紹介いただきました。
ユーザ価値を効率的に高めるためにはどういう性能を向上させればよいか、またどのような機能に関連している部品をアップグレード、リユース、リサイクルすれば良いかなどの設計指針を示すことで、環境負荷をも踏まえたコストと価値のベストソリューションを数値化し、ユーザに対して自社製品の差別化ポイントをアピールすることができるようにするためのツールがTPA法となります。
 最後の3番目の講演では.同部門の明渡上席研究員(兼集積加工研究グループ長)より、最近二次電池等の活物質などに使用される機能材料・ナノ材料を実用的なデバイスに繋げる革新的な低温プロセス技術や集積技術の確立と生産技術としての高度化を目指すことを目的としたエアロゾルデポジション(AD)法について、薄膜や厚膜の製造技術を例に加工現象のメカニズムや非熱的過程を用いたプロセス技術の詳細とこれらのプロセス技術を実現するための評価、計測技術について詳細な紹介をしていただきました。さらに、AD実験棟において本講演内容に関連する研究の詳細やオンデマンド製造装置等の見学を行うとともに現場の研究者との意見交換を図ることができました。

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