2012年度 第4回講演会
『エンジニアのためのハッ!とするデザイン学』

テーマ
『−経営者やエンジニア達のデザイナー活用法を説く−』
日時
2012年10月12日(金)13:00〜16:30
場所
株式会社小野測器 本社ビル@新横浜 (〒222-8507 神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目9番3号)
全体概要
当日は、冒頭我が国工業デザイン界の超大御所的存在の豊口協(とよぐちきょう)長岡造形大学理事長(東京造形大学名誉教授)から、「時は流れ、時代は変わる」というテーマで持論とする人文科学、社会科学及び自然科学の融合体としてのデザイン学のあり方等を通じて、これからの製品開発に必須でかつ商品開発における未来への方法論などを、現在最先端の現場で活躍されているエンジニア達に向け熱いメッセージが語られました。
講演では、時代の変革を象徴する出来事でもあった1970年の大阪万博に関与した時の様子や経緯、時に工業社会から情報社会へ社会が動き始め、人と物との関係、価値観が大きく変っていった中での工業デザインのあり方や考え方を実体験から延べられるとともに、それから15年後の1985年の筑波科学技術博では、9つの科学技術のテーマをもとに構成され、それぞれの領域から世界へ多様なメッセージが送られましたが、そこでの経験も踏まえ今まさに「人文科学・社会科学・自然科学の融合体としてのデザイン学」のあり方が問われようとしている状況を真摯にかつ穏やかに聴衆に訴えかける圧巻の内容でした。
2番目の講演では元トヨタ自動車株式会社のデザイン部長として、あるいはカリーナ、レクサス、ハリアー等多数の名車をデザインされたことでも高名の木村 徹氏(川崎重工業株式会社モータサイクル&エンジンカンパニー)から、「次世代自動車開発で変えるべきマインド 」というタイトルで、日本のものづくりが今後世界をリードしていくために不可欠となる「感性価値」に重点を置いた自動車やものづくりのためのデザイン戦略について身近な事例を挙げて解説していただきました。
例えば、日本のものづくりは、これまで価格、性能、品質等で世界をリードしてきましたが、これから本当に世界に尊敬されるには第4の価値「感性価値」が必要であること、また従来の考え方でものづくりをしていたのでは世界をリードし続けることは不可能であることなどを危機感を持って語られて、まさに気づきの講演会と言うに相応しい講演でした。
最後の3番目の講演では、株式会社ブレイン代表取締役の大野泰郎氏に日頃より提唱するエンジニアリングとデザインの融合の必要性について、総合的なブランド像を創出するための方法論や、それを可能にするための実例として経営者やエンジニア達のデザイナー活用方法等について詳しく解説していただきました。
講演の内容は、「機能と魅力を商品が語る為の創造作業とは! 」と題し、自らが実践してきたブランド像創出のための工夫や方法、およびそれを可能とし実現するための行った経営者やエンジニア達とのディスカッションの中でデザイナーの活用方法等についてのノウハウのようなものを熱く語りかける内容でした。
講演全体を通じてハッとするような“気付き”のポイントが幾つもあり、参加者からは「満足」の声が多かったように感じられる講演会でしたが、気付かれなかった方の中には若干期待外れ感も残しました。

前のページに戻る