2015年度 第2回講演会
『防衛省技術研究本部 航空装備研究所 訪問』

テーマ
『防衛省技術研究本部 航空装備研究所 訪問』− 航空機と自動車のエンジン研究開発 −
開催日時
2015年7月22日(水)13:00〜16:35
会場
防衛省 技術研究本部 航空装備研究所(陸上自衛隊東立川駐屯地)
全体概要
昨年、日本初のジェット旅客機 MRJがロールアウトを果たしましたが、防衛関係でも先進技術実証機の研究が進められていますが、本講演会では次世代の戦闘機用エンジンの研究について講演していただくことが出来ました。
また、自動車のエンジンでも低燃費でクリーンな次世代燃焼として注目される予混合圧縮着火燃焼についての研究開発が進められており、今回は防衛に関係する航空機エンジンと自動車エンジンの研究開発を対比させた講演が企画されました。
講演1:<航空機エンジンの開発>
講師:航空装備研究所 システム研究部 エンジンシステム研究室 技官 山根 喜三郎 氏
国産としては初の本格的なアフタバーナ付低バイパス比ターボファンエンジンである実証エンジン(XF5-1)は、推重比としては世界トップレベルを達成しており、先進技術実証機の初飛行に向けてエンジンの地上運転試験を実施しています。
また、将来の戦闘機への搭載を想定したハイパワーでスリムな次世代エンジンを実現するため、エンジンで最も高温・高圧となるコアエンジンを構成する主要構成要素などについて研究を進めています。本講演では、防衛省で研究開発を行った実証エンジンの概要と将来のエンジンに関する研究の展望についてご紹介いただきました。
<見学>
航空装備研究所で研究開発に使用している実験設備等を見学しました。資料館において歴史的な研究開発の成果等を見学し、開発経緯等も知ることが出来ました。また、その他無人機やジェットエンジン等の見学を行いました。
講演2:<自動車エンジンの開発
講師:慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 教授 飯田 訓正 氏
次世代燃焼として注目される予混合圧縮着火燃焼(HCCI燃焼)に関して、先駆的な研究で多くの成果が上げられています。HCCIはガソリンをディーゼルエンジンのように自己着火させて、CO2削減とクリーンな排気を両立させる究極の燃焼方式で、地球環境問題や石油資源の枯渇問題を緩和しうる手法の一つとしてその実用化が求められています。
ご講演では、現在の研究と将来の見通しについてお話しいただくとともに、最後には口頭ながら現在進行中のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の概要やAICE(自動車用内燃機関技術研究組合)との連携、「革新的燃焼技術」の中で実施される「ガソリンエンジンの超希薄燃焼などによる熱効率向上に関する研究」の詳細をご説明いただきました。

講演会場の防衛省技術研究本部航空装備研究所は、JR立川駅北口からバスで10分程のところにあり、有名な立川競輪場のすぐ南側に位置していて、所謂立川駐屯地とは別に東立川駐屯地に併設した施設です。
本講演会は通常の講演会企画とは趣を異にしていて、その内容は最初に航空装備研究所の概況説明をいただいた後、航空装備研究所側からの講演として実証エンジン(XF5-1)や将来の戦闘機用エンジン(ハイパワー・スリム・エンジン)を中心とした航空機エンジンの開発についてのお話があり、次いで 航空装備研究所の見学(資料館と実験施設)、そして最後に自動車技術会側から防衛省側にも話題を提供するということで、慶応義塾大学理工学部の飯田訓正教授から自動車用エンジンの研究開発に関する最新の状況をご説明いただくという構成でした。

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