この日、表彰式とスケッチ講習会を終えた受賞者の皆さんに、今の率直な気持ちを聞きました。
緊張と喜びの中で得た発見、プロとの対話で広がった視野、受賞をきっかけに芽生えた新しい道……。
これから応募する皆さんに向けた実践的なアドバイスもたっぷりお届けします。

「緊張と喜びが入り混じる授賞式。報われた努力も、芽生えたクルマへの興味も──それぞれの心に刻まれて」

「直接教わる喜びと語り合う楽しさ。想像以上に自分の力が引き出されて、自信が芽生え、憧れが深まった時間」






「変わらない目標もあれば、新しく見えた道もある。受賞がくれた将来への ヒント」
■星野 真吾さん【モビリティデザイン大賞】中学3年
大きく速いサメをモチーフに、空を泳ぐように飛行する姿をイメージしたという星野さん。テレビで見た水力で飛ぶジェットブレードから着想を得て、それに飛行機を組み合わせれば環境にやさしく便利な乗り物になると考えた。迫力ある構図にこだわり、描き直して下から見上げる構図に仕上げた。環境に配慮するだけでなく、より環境を良くすることを目標に、見本となる乗り物を作りたかった。進学先でゲームのキャラクターデザインを学ぶ為、背景や乗り物だけでなく、今はキャラクターを描くことに力を入れている。
鈴村 新太さん【モビリティデザイン賞 中学生の部】中学2年
宇宙でラリーをする夢が現実になるように──そんな思いを込めた作品を描いた鈴村さん。地元がWRCの開催地であることから、『自由に』『もっと楽しく』ラリーをするにはと発想を膨らませた。車が大好きだが絵は苦手で、バランスや躍動感をどう表現するかに苦労し、講師の先生にパーツごとのアドバイスをもらいながら頑張った。8輪で自由に動ける構造が、ラリー以外の分野でも活用できたらと思う。趣味はレトロゲームや昔のミニカー、古い映画や音楽を集めたり見聞きして、その時代からの変化を感じること。
「幼い頃の遊びや日常から始まった絵との出会い。クルマや自然、好きなものを描き続けてもっと好きになった」
岩田 優一さん【ダビンチ賞 高校生の部】高校2年
将来の夢はカーデザイナー。その夢に近づくため、このコンテストに挑戦した岩田さん。今回の作品は、地元で目にする高齢者の移動を課題に、移動手段が限られ車なしでは生活が難しい現状を踏まえ、サービスが高齢者のもとへ行く自律走行型モバイルステーションを考案。「親しみと頼もしさ」をテーマにしたデザインが難しかったが、親しみやすさは小学生の頃の工作ロボットをヒントに着想、頼もしさはリアピラーを太く盛り上げて表現。乗り物は人生に彩りを与えるものだと思う。最近ハマっているのは甘いもの。
■和田 真都佳さん【モビリティデザイン賞 高校生の部】高校2年
自分の世界観を作ることが好きな一方、よく調べてからコンセプトを固める──そんな和田さんらしさを感じる今回の作品。農業や漁業が身近なものになるよう生活に取り入れ、持続的な食糧生産を可能にしたいという思いを込めた。苦労したフォルム造りでは、スケッチからでなく粘土で造形するところから始める逆転の発想で、コンセプトが伝わるフォルムにたどり着いた。作品を通じて、多くの人に食糧問題への関心を持ってもらいたいと考えている。趣味は書道で、全国大会を目指して日々作品づくりに励んでいる。
「アイデアを閉じ込めずに広げる」「日常から着想を得る」「視点を変える、最先端を追う」「自分の推し(好き)を広めるために問題解決」「納得するまで描き続ける」「描き直すことでアイデアも進化する」─受賞者からのメッセージ
■山崎 真穂さん【ダビンチ賞 中学生の部】中学2年
このコンテストは初挑戦の山崎さん。『パクパクプッファくん』は、海底のごみをなくし、生物が過ごしやすい環境を作りたいという思いから誕生した。海の生物が好きで、特にフグのかわいらしさをモチーフに採用。制作では、パック内に入った水の扱いに悩み、その水をエンジンとして活用する発想で解決した。応募前はクルマを「カッコイイな」と思う程度だったが、今回の挑戦を通して新しい発見や引き出しが増え、興味が増した。表彰式では緊張しながらも自分の成長を感じたという。趣味は読書、お絵描き、運動。
■鵜殿 正基さん【審査員特別賞 高校生の部】高校3年
6年間コンテストへの挑戦を続けた鵜殿さん。最後の応募となるこの作品は、ドリフトやカスタムなど、車を操る楽しさを純粋に描いたスポーツカーだ。自動運転や車非所有化が進む未来でも、人が自らハンドルを握り“愛車”と呼べる存在こそが、自動車文化を守り、次世代へつなぐ鍵だと信じている。違法改造などの負の印象を変え、安全にドリフト走行を楽しめる車を提案し、車への愛着とカーカルチャーの魅力を広く伝えたい。最近教習所に通い始め、実車の運転でその思いをさらに深めている。6年間ありがとう!
