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第13回モビリティデザインコンテスト受賞者インタビュー

「表彰式と講習会で生まれた新しい気づき。そして、次に挑戦するあなたへ」

 この日、表彰式とスケッチ講習会を終えた受賞者の皆さんに、今の率直な気持ちを聞きました。
緊張と喜びの中で得た発見、プロとの対話で広がった視野、受賞をきっかけに芽生えた新しい道……。
これから応募する皆さんに向けた実践的なアドバイスもたっぷりお届けします。

【表彰式直後の記念撮影】左より、岩田優一さん(ダビンチ賞 高校生の部)、山崎真穂さん(ダビンチ賞 中学生の部)、鵜殿正基さん(審査員特別賞)、星野眞吾さん(モビリティデザイン大賞)、和田真都佳さん(モビリティデザイン賞 高校生の部)、鈴村新太さん(モビリティデザイン賞 中学生の部)

Q1授賞式を終えて、今の率直な感想を教えてください。

「緊張と喜びが入り混じる授賞式。報われた努力も、芽生えたクルマへの興味も──それぞれの心に刻まれて」

鈴村
とても緊張しました。このような賞をいただけて本当に嬉しかったです。
和田
今年、デザインコンペや絵画コンクールに結構応募していたんですが、全落ちしてしまって……。やっと努力が報われたなと思って、本当に嬉しかったです。
鵜殿
6年連続で応募させてもらっていて、今年もまた何かしらの賞を取ってここに来られたらいいなと思っていました。実際にそれができて本当にありがたい限りです。ありがとうございました。
司会
鵜殿さん、受験期にも関わらず応募してくれてありがとうございました。
星野
いろんな絵のコンテストに入賞はしていたんですけど、大賞は1度もなかったので、正直びっくりしました。とても嬉しかったです。
【大賞表彰状授与】色々なコンテストに挑戦しているが大賞は初めてという星野さん。自動車技術会 武藤常務理事と。
山崎
初めてのモビリティデザインコンテストで、正直クルマは「かっこいいな」ぐらいにしか思ってなかったんです。このコンテストの紹介を学校の先生から聞いて、「まあやってみようかな」と思って応募したら、たまたま賞をいただけて、また一段とクルマに興味が沸いたというか……。表彰式の時はめっちゃ緊張して、言葉がつっかえつっかえだったんですけど、無事終わってよかったです。
岩田
僕は大のクルマ好きで、クルマに関係する職業に就きたいと思っていました。特にデザインが好きで、それこそカーデザイナーになりたいなと思っていて、コンテストないかなって調べていたら、このコンテストを見つけました。最初は興味本位で応募したんですけど、受賞のメールが来た時にはずっとメール見ながら家でにやにやしてて……1週間ぐらいにやけてました。びっくりして嬉しくて、今もその気持ちが続いてます……笑。

Q2.プロのモビリティデザイナーによるスケッチ講習会の感想を聞かせてもらえますか?

「直接教わる喜びと語り合う楽しさ。想像以上に自分の力が引き出されて、自信が芽生え、憧れが深まった時間」

和田
私は手描きを極めたいと思っていて、講習では手描き中心でやらせてもらいました。私が書道をやっていることを事前にデザイナーの方が理解してくださっていて、細い線や太い線などの線質の使い分けや描き方を一つ一つすごく詳しく教えていただきました。私個人の特技を理解した上で指導してくださったおかげで、表現が広がったのがとても嬉しかったです。
デジタルが苦手で、今回不安も大きかったんですが、それでも序盤のレイヤーの分け方からしっかり教えてくださったので「あ、楽しいんだな」と思えたのがよかったです。
【スケッチ講習】書道が特技であることを講師が理解して、線質の使い分けや描き方を詳しく教わった和田さん。
鵜殿
中学生の時はコロナ禍で講習会がなく、ビデオレター形式だったので、デザイナーの方とは対面できませんでした。昨年講習会に来た時は時間が短くて、技術面の話が中心になりました。今回初めてカーデザインに関する技術以外にも、今のカーデザインに関する色々な細かい部分まで直接話すことができました。語り合える場(時間)を設けていただいて本当に楽しかったです。
司会
今回さらに講習時間を長くしましたが、時間は足りましたか?
鵜殿
はい、これだけ長いと色々話すことができて楽しかったです。
【スケッチ講習】プロのデザイナーとモビリティデザインについて直接語り合うことを楽しみにしていた鵜殿さん。
星野
まずプロのデザイナーの方に直接講習を受けるという、貴重な機会をいただけてめちゃくちゃ良かったです。絵の描き方もやさしく教えてくれたので、とてもわかりやすくて参考になりました。
【スケッチ講習】講師は熱心に丁寧に優しく教えてくれる。デジタルスケッチの指導を受ける星野さん。
山崎
最初の対話の時間がすごく長くて、その間に普段のことや、どうやってアイデアを思いついたのかを話せました。その時にアイデアの出し方もどんどん教えてもらって、自分の中のアイデアの引き出しが増えたし、そのあとは絵を描く時のタッチを教えてもらって、すごく褒めてくださって、自分の絵にちょっと自信を持てるようになったなって思いました。
司会
最初の対話というのは、デザイナーが山崎さんが普段どんなことを考えているかとか話を聞こうとして、時間をとってくれたという印象ですか?
山崎
はい、その通りです。
【スケッチ講習】普段何を考えてアイデア出しするかなど、相手を知る対話の時間を大切にしてくれたと感じた山崎さん。
岩田
僕の夢の存在であるカーデザイナーから1対1でスケッチ指導をしてもらえるなんて、夢にも思っていませんでした。自分が思いを込めて描いた絵の表現したかった部分を、まさしく表現してくれていて、スケッチを見た時に「こんなにデザイナーって魅力を引き出す力があるんだ!」と思って、とても嬉しかったです。ますます憧れの存在になりました。
【スケッチ講習】楽しそうにデジタルスケッチに取り組む岩田さん。デザイナーが益々憧れの存在になったという。
鈴村
プロの方の技術を間近で見られて、すごく感動しました。デジタルスケッチを少しだけやらせてもらったんですが、難しいと思いつつもすごく興味を持ちました。またいつかやってみたいです。
【スケッチ講習】講師の描いたデジタルスケッチを真剣に見つめる鈴村さん。難しかったがまたやってみたいという。
司会
皆さん、ありがとうございます。昨年から手描きとデジタルの両方を講習会で教えていますが、両方やってもらって嬉しいですか? 人によっては手描きを描かずに、デジタルから絵を描き始めてもおかしくない時代になりましたが、やっぱり手描きについて教えてもらって良かったとか、逆にデジタルは馴染んでなくて不安だから両方あってよかった、といった意見があれば聞かせてください。
和田
私は両方あった方が良いなと思う派です。デザイナーの方も、デジタルだけでなくアナログで描く力があるとアイデアに説得力があるし、カッコいいです。将来的にどちらも描けるようになった方がいいので、今回両方あって良かったです。
鵜殿
どうしてもどっちかに傾倒してしまって、時間配分が偏ることはあると思います。でも受賞者がデザイナーさんと話してどちらに重点を置くかを合意できるなら、両方あって全然いいと思います。
司会
講師の方は皆さんの作品を見て「こういうところを教えてあげるといいんじゃないか」と考えて来てくれていると思います。一方、私たち運営側は手描き・デジタル両方あるので講習時間を昨年より長くしました。どっちをよりやりたいかという話も、皆さん講師とできましたか?(皆うなずく)そして皆さん、両方やりたいという感じですか?(さらにうなずく)はい、ありがとうございます。

Q3.コンテストに受賞して、将来に対する考え方に変化はありましたか?

「変わらない目標もあれば、新しく見えた道もある。受賞がくれた将来への ヒント」

鵜殿
受賞したからというよりも、6回応募し続けたことで「カーデザインってなんだろう?」というのをずっと考えてきました。単純な格好だけじゃダメだし、機能的過ぎてもダメだし……みたいなことを6回通して学んで身につけられたのが本当に良かったと思います。受賞そのものより、その過程での影響の方が大きいですかね。
司会
鵜殿さんは今年大学に進学されると思いますが、この6年間、受賞し続けたことや応募し続けたことを通して、このコンテストが将来や仕事に対する考え方に何か影響を与えましたか?
鵜殿
むしろ因果関係は逆で、カーデザイナーになりたいから、そういう企画がないかなって探し始めたんです。
司会
じゃあ、そこはぶれなかったわけですね?
鵜殿
はい、そうですね。
星野
今回初めての大賞受賞でしたが、「どういう絵を描いたらみんなの感性にあてはまるのか」とか「どういうことが評価されるのか」を考えて絵を描くことを知りました。今まではどちらかというと自分の趣味で描いていたんですけど、今回はお題に沿って「どうすれば地球にやさしく、乗り物を楽しめるようになるか」を考えた結果、大賞が取れました。今後、絵を描く時の参考になる経験ができました。
司会
星野さんは、将来芸術系やデザイン分野に進みたいという希望はありますか?
星野
はい。ゲーム会社に勤めて、キャラクターデザインや背景デザインなど、ゲームの見た目を作る仕事をしたいと思っています。

■星野 真吾さん【モビリティデザイン大賞】中学3年

大きく速いサメをモチーフに、空を泳ぐように飛行する姿をイメージしたという星野さん。テレビで見た水力で飛ぶジェットブレードから着想を得て、それに飛行機を組み合わせれば環境にやさしく便利な乗り物になると考えた。迫力ある構図にこだわり、描き直して下から見上げる構図に仕上げた。環境に配慮するだけでなく、より環境を良くすることを目標に、見本となる乗り物を作りたかった。進学先でゲームのキャラクターデザインを学ぶ為、背景や乗り物だけでなく、今はキャラクターを描くことに力を入れている。

山崎
私もコンテストを受ける前は、将来はデザインや漫画、ゲームなど、絵を描くところに入りたいと思っていました。でも現実には、それで食べていくのは難しいとも感じていました。そんな時、学校でこのコンテストのポスターを見つけて「トライしてみるか」と思ってやってみたら、いろんな引き出しがバンバン出てきて……。自分の中でもそうだし、他の人たちの話も聞いて「ああそういう考えもあるんだな」と思ったり。いっぱい引き出しを出させてもらって、入賞もできて、今はカーデザイナーという道もあるのかなって思えるようになりました。
司会
もともとクルマには興味があったんですか?
山崎
昔ミニカーで遊んでたぐらいで、「カッコいい」ぐらいにしか思ってなかったです。
司会
でもクルマは全く他のものと同列というわけじゃなくて、ちょっとは興味があったんですね?
山崎
はい。
司会
いろんな人に引き出してもらったというのは?(鈴村さんの方も見て)お二人は同じ学校ですよね。コンテストを先生に紹介してもらったとありましたが、これは学校の授業?部活?どういう感じのものですか?
鈴村
土曜日に講座があって、その中でこのコンテストを紹介してもらいました。
司会
その講座は美術系?
山崎
「デザイン&カーデザインの講座」というのがあって……
司会
「カーデザイン講座」と名前がついているんですね、すごいですね。その講座の中でいろんな人に引き出してもらったと。
山崎
はい。新しいのも、元々あったものも引き出してくれました。
岩田
僕は元々カーデザイナーになりたかったので、「絶対にカーデザイナーになってみせる!」という意志が心の中で本当に強くなりました。前は建築や建物のデザインなど他の分野にも興味があったんですが、今日でもう、9:1ぐらいでカーデザイナーになりたい!ってなりました。
司会
ぜひその意志が変わらないことを祈っています!笑。
鈴村
僕は小さい頃からクルマが大好きで、将来の夢を聞かれた時にも「カッコいいクルマをデザインする人になりたい」と答えていました。でも大きくなるにつれて知らないことへの不安が出てきて、その夢から遠ざかっていました。今回の受賞を通して「やっぱりもっと学びたい、楽しい!」という気持ちが戻ってきて、いろんなことに挑戦してみようと思いました。

鈴村 新太さん【モビリティデザイン賞 中学生の部】中学2年

宇宙でラリーをする夢が現実になるように──そんな思いを込めた作品を描いた鈴村さん。地元がWRCの開催地であることから、『自由に』『もっと楽しく』ラリーをするにはと発想を膨らませた。車が大好きだが絵は苦手で、バランスや躍動感をどう表現するかに苦労し、講師の先生にパーツごとのアドバイスをもらいながら頑張った。8輪で自由に動ける構造が、ラリー以外の分野でも活用できたらと思う。趣味はレトロゲームや昔のミニカー、古い映画や音楽を集めたり見聞きして、その時代からの変化を感じること。

和田
私が進学する予定の大学では、建築デザイン、ビジュアルデザイン、プロダクトデザインなど、いろんなデザインの分野があります。特に私はグラフィック系に進むか、プロダクトやインダストリアルデザインなど人が使うデザインに進むかですごく迷っていました。今回のコンテストや、過去に受賞したインテリア系のデザインも含めて、やっぱり「人のために何かを考えるのがすごく好きだ」ということを再認識できました。自信がついたのが良かったです。

Q4.絵を描き始めたきっかけは?絵を描き始めたのはいつ頃からですか?

「幼い頃の遊びや日常から始まった絵との出会い。クルマや自然、好きなものを描き続けてもっと好きになった」

星野
あまり覚えてないんですけど、幼稚園児の頃からずっとクルマの絵を描いていて、小学校ぐらいからはクルマ以外の絵も描くようになりました。最初からクルマの絵を描いていて、クルマも絵も好きで、今もずっと描き続けています。
司会
絵が好きなのとクルマが好きなのは同じぐらい?
星野
はい。もう絵=クルマ、クルマ=絵です。遺伝ですね。お父さんがクルマも絵も好きなので、そのまま受け継いだ感じです。生まれてからずっと絵が好きで、クルマも好きです。
司会
お父さんがクルマ好きだから、自分も好きになったという自覚はあります?
星野
あります。クルマのショーとか嫌でも連れて行かれたので。そうしたら自然と好きになってました、笑。
司会
コンテストに応募し始めたのはいつ頃ですか?
星野
小学四年生ぐらいです。きっかけは、学校から「こういうコンテストがあるけど描いてみない?」と勧められて。そこからずっと描いてます。
司会
コンテストはクルマ系が多いですか?
星野
いや、もう全部。ありとあらゆる、絵だったらなんでもみたいな感じですね。
山崎
絵を描き始めたのは幼稚園ぐらいかな。模写だったり自由に描いたりしていました。当時はタブレットもスマホも持っていなくて、世界にそういうプロの方がいることも知らなくて。「こういうの描いてみたい」と思って、ひたすら描き続けていたら絵が好きになってました。小学校の頃からスケッチブック1冊、2冊と描き続けていたら、絵を描くのが大好きになって。コンテストは学校の授業で出していたんですけど、ずっと趣味で書き続けていました。
司会
絵とクルマって、どこかで結びつきました?
山崎
クルマはちっちゃい頃に1回描いたことがあったんです。でも綺麗なフォルムを捉えられなくて……。描けないと悔しくて、他のものを描いちゃうんですよ。それでクルマに1度挫折して離れたんですけど……またクルマに戻ってみたら「楽しいな」みたいな。
司会
最初にクルマを描いたのはいつ頃?
山崎
小学校1、2年ぐらいで挫折して……笑
司会
それは挫折とは言わないですよ、笑。女性の方でクルマを描く人は少ない印象があるので、山崎さんは自分からクルマを描こうと思ったのが印象的でした。クルマは、いろんなものを描く中のひとつ?
山崎
はい。周りが自然なので木とか、捕まえた芋虫とか、おじいちゃんとか……。
司会
素敵ですね。対象はどんなものでも、描けるものを描いていて、その中にクルマも入ってきたんですね。
山崎
はい、そうです。
岩田
僕もちっちゃい頃からクルマが好きでした。絵を描き始めたきっかけは、ちっちゃい頃ゲーム機とかもなくて、外で近所の子と遊ぶくらいしかなかったんです。その子がいなかった時に、家で「1人で何する?」ってなって。なんか暇だし、絵を描こうと思ったのが始まりです。それを重ねていくうちに上手になったり「好きだな」という気持ちになったんだと思います。
特に絵の中でも、僕は星野君と同じで、お父さんがクルマ好きなので、ミニカーが家にいっぱいありました。最初はそのミニカーを描いていて、だんだんクルマの絵が好きになって。じゃあミニカーの次に何描こう?と思った時に、もう「あるクルマを描くだけじゃ面白くない」と思ったので、自分で想像した好きなデザインのクルマをいっぱい描くようになりました。そんな感じでクルマの絵が好きになりました。

岩田 優一さん【ダビンチ賞 高校生の部】高校2年

将来の夢はカーデザイナー。その夢に近づくため、このコンテストに挑戦した岩田さん。今回の作品は、地元で目にする高齢者の移動を課題に、移動手段が限られ車なしでは生活が難しい現状を踏まえ、サービスが高齢者のもとへ行く自律走行型モバイルステーションを考案。「親しみと頼もしさ」をテーマにしたデザインが難しかったが、親しみやすさは小学生の頃の工作ロボットをヒントに着想、頼もしさはリアピラーを太く盛り上げて表現。乗り物は人生に彩りを与えるものだと思う。最近ハマっているのは甘いもの。

鈴村
絵を書くことはあんまり得意じゃなかったんですけど、車が本当に大好きだったんです。星野さんとか岩田さんと同じように、僕もお父さんが車が大好きで、ミニカーとかもたくさん持ってたり、だいたいゲームもクルマのもので、そういういろんなものに影響を受けて、小学校高学年の頃からずっとクルマの絵ばかり描いてました。
司会
鈴村さんはあるクルマを描く感じ?それとも自分のオリジナルを描く感じ?
鈴村
僕は模写ですね。
和田
私は、自分の世界観を作ることが好きっていうことから始まっているんです。絵を描きはじめたのは1歳とか、塗り絵とか簡単なことからで。自分だったらこういう色にするなとか自分だったらこういうフォルムでこういう形でとか、自分だけにしか作れない世界を表現できるのが、絵が一番身近だったので、そこから入って行きました。そうやってだんだん絵が好きになって、中学で美術を学べる学校に入って、今に至るっていう感じです。
司会
始まりは、絵が好きだからというより、自分の世界観とか、自分だったらこうするとか、自分を表現したいっていう方がぴったりくるのかな?
和田
はい、今でも表現することが好きなので……いろんな面で。
司会
ちなみに絵を書く以外にやってることはあります?さっき書道の話はありましたが。
和田
ピアノとヴァイオリンと演劇とかですかね。台本とか楽譜とか映像とか、ちゃんと決まったお手本ってどれもあると思うんですけど、なんかそれだけじゃ自分らしさが無いし、わたしだったらもっとこうしてオリジナリティ出したいみたいなのが心の中にあって、そういうのが絵にも共通してるのかなと思います。
司会
オリジナリティに対するこだわりがめちゃくちゃあるんですね。
和田
あります。むちゃくちゃあります。
司会
生まれた時からクリエイターですね、気持ちの持ち方が、笑。

■和田 真都佳さん【モビリティデザイン賞 高校生の部】高校2年

自分の世界観を作ることが好きな一方、よく調べてからコンセプトを固める──そんな和田さんらしさを感じる今回の作品。農業や漁業が身近なものになるよう生活に取り入れ、持続的な食糧生産を可能にしたいという思いを込めた。苦労したフォルム造りでは、スケッチからでなく粘土で造形するところから始める逆転の発想で、コンセプトが伝わるフォルムにたどり着いた。作品を通じて、多くの人に食糧問題への関心を持ってもらいたいと考えている。趣味は書道で、全国大会を目指して日々作品づくりに励んでいる。

鵜殿
僕も気がついた時には絵を描くのが好きで、幼稚園に入る前からかな……。クルマの方はちっちゃい時は乗り物全般、特に電車とクルマみたいな、典型的な男の子の好きなものから入ったと思うんですけど。でも、今思い返したら乗り物図鑑も一般車のページしか見てなかったから、その頃から英才教育が始まってたんだと思います、笑。父親も母親もそこまでクルマ好きってわけじゃないのですが、叔父がクルマ好きなんで、多分血なんだと思います。でもまあどっちも気がついたら好きになってたって感じですかね。だから自然に融合して、クルマの絵をたくさん描いてたら今に至ったという感じです。

Q5.これからコンテストを応募してくれる人たちにアドバイスお願いします。

「アイデアを閉じ込めずに広げる」「日常から着想を得る」「視点を変える、最先端を追う」「自分の推し(好き)を広めるために問題解決」「納得するまで描き続ける」「描き直すことでアイデアも進化する」─受賞者からのメッセージ

山崎
作る時に「これは現実じゃ無理だろう」とか「再現できるわけない」とかっていう感じで、アイデアがどんどん縮まっちゃっていたんですよ。だけどそうやって限定するんじゃなくて「これはできないだろうけど、まあやってみたら」みたいな。自分を閉じ込めるんじゃなくて、もっと広げてあげて、広い視野で考えてみると、アイデアも出てきてくれるんじゃないかなって。アイデアを解放して出してあげる、みたいな考えでいいのかなって思います。

■山崎 真穂さん【ダビンチ賞 中学生の部】中学2年

このコンテストは初挑戦の山崎さん。『パクパクプッファくん』は、海底のごみをなくし、生物が過ごしやすい環境を作りたいという思いから誕生した。海の生物が好きで、特にフグのかわいらしさをモチーフに採用。制作では、パック内に入った水の扱いに悩み、その水をエンジンとして活用する発想で解決した。応募前はクルマを「カッコイイな」と思う程度だったが、今回の挑戦を通して新しい発見や引き出しが増え、興味が増した。表彰式では緊張しながらも自分の成長を感じたという。趣味は読書、お絵描き、運動。

岩田
今回応募した作品は、地域の高齢者に寄り添ったモビリティというテーマでやったんですけど、僕の地域は田舎の方なので、おじいちゃんおばあちゃんが免許返納した後、アシがないとボケてしまうという理由でクルマを手放せないっていう人がいっぱいいるんです。それが事故につながったりもしていて。
僕が応募するアイデアを考える時に一番大事にしたのは、自分がいる環境からインスピレーションを受けること。周りの環境をよく知っているからこそ、いいアイデアが生まれるんじゃないかなと思いました。
鈴村
アイデアは日常の中にたくさんあると思うので、そういう視点で毎日を過ごしたり意識した方がいいと思います。今回のテーマなら「もっとこうだったら十年後楽しいじゃないか」とか、「ちょっと不便だな」と思った時に「もうちょっとこうだったら便利になるんじゃないかな」とか、そういう視点で見ることが大切だと思います。
和田
アイデア出しと、実際に絵を描く段階でおススメしたいことがちょっと違うんですけど……。
アイデア出しの段階で私自身困ったのが、このコンテストが12回も続いているので「もうアイデア全部出ちゃってるじゃん!」と思って行き詰まって……。新規性という点ですごく迷ったんですよ。私の分析では、高齢化社会や環境改善に向けたモビリティが多くて、「どうしよう??」っていうのが第一声でした。
でも国内の問題だけに目がいきがちなんですけど、世界的にみると人口も増えてく傾向にあって、例えば教育が行き届かない子供たちをどうしていくかとか。人が解決できない問題を今後モビリティだったりロボット、AIなど人以外のものが解決して行く時代になると思うので「自分がAIやロボットだったらどうするか」みたいに視点を変えて、視野を広げて考えるといいかなって思います。
あとはデザイナーの方もやってると思いますが、最先端を持ってくる。科学技術や社会問題もそうですけど、私も図書館でめっちゃ本を借りたり海外のニュースを読んだりしました。そうやって最先端を追っていくっていうのが参考になるかなと思います。
司会
和田さんは普段からそういうことをやっているんですか?
和田
私はコンテストになるとコンセプトをすごく固めるタイプなので、片っ端から勉強してからやりますね。アイデアも3つぐらい出しといて、いろんな人に聞いたりします。
司会
戦略的ですね。
和田
描く方に関しては、今回5回ぐらい清書し直しました。2回でもいいので1枚だけじゃなくてもう1枚描くことをお勧めします。デジタルだと関係ないんですけど、アナログだとコピックのにじみやかすれ具合って一瞬の芸術なので、全然表現や雰囲気が違ってきます。それでどんどんアイデアのデザインが変わってくることもあるので、リファインするという点ではもう一枚描いておくと、すごく表現が変わってきていいかなと思います。
鵜殿
まず言いたいことは、継続ですね。続けていれば「どういうふうに考えたらいいのか」とか「どういう描き方がいいのか」とか、見せ方も色々考えられるようになってきます。賞は目指さなくても、とりあえず出してみる。何回も続けていたら、だんだんいいものができるようになると思います。
アイデアについては、結局自分の「好き」っていう部分は、一番知識を持っていて一番やりやすい土俵になると思うんです。自分の「好き」をいかに問題と結びつけるか、自分の「好き」をいかに他の人に好きになってもらえるか。自分の「推し」を広めたいみたいな。自分の推しを広めたいなら、それを妨げている問題を解決すればいい。だから、好きなものがあって、それを妨げる問題を解決する発想で作っていくのがやりやすいと思います。僕個人としては、そういうやり方が合っています。

■鵜殿 正基さん【審査員特別賞 高校生の部】高校3年

6年間コンテストへの挑戦を続けた鵜殿さん。最後の応募となるこの作品は、ドリフトやカスタムなど、車を操る楽しさを純粋に描いたスポーツカーだ。自動運転や車非所有化が進む未来でも、人が自らハンドルを握り“愛車”と呼べる存在こそが、自動車文化を守り、次世代へつなぐ鍵だと信じている。違法改造などの負の印象を変え、安全にドリフト走行を楽しめる車を提案し、車への愛着とカーカルチャーの魅力を広く伝えたい。最近教習所に通い始め、実車の運転でその思いをさらに深めている。6年間ありがとう!

星野
自分が納得するまで描き続けることが大事だと思います。1枚目が納得しなかったので2枚目を描いて納得したら受賞したので。前回入賞や大賞とれなかった絵は、全部自分が納得してないので、自分が納得するまで描くことが大事なんだなって。努力ですね。努力すれば報われる、そんな感じです。
司会
皆さん、実体験に基づいた貴重なアドバイスありがとうございます。以上で質問は終了です。改めて受賞おめでとうございました。本日はありがとうございました!
【インタビュー風景】左手前から時計回りで、鈴村新太さん、和田真都佳さん、鵜殿正基さん、星野眞吾さん、山崎真穂さん、岩田優一さん。ひとりひとりの思いをしっかり語ってくれました。表彰式、スケッチ講習会と、今日経験したことがこれからの皆さんの糧になりますように。本当に感謝です。
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